脈が止まるその前に

循環器内科有馬 喬

心臓のはたらき

私たちの身体では血液が全身の細胞に酸素や栄養を運ぶ働きをしており、その血液を全身に送り出すのが心臓です。1分間に50~100回収縮して血液を送り出しています。心臓では右心房上部にある洞結節から発生した規則正しい電気刺激が心房内伝導路、房室結節、ヒス束、左脚、右脚、プルキンエ線維へ順次伝わり、心筋まで伝導することで収縮が起こります。

不整脈について

ペースメーカー治療の対象となる主な不整脈は徐脈性不整脈(脈が遅くなる不整脈)で、①脈の司令塔である洞結節の機能が低下する洞不全症候群と②刺激伝導路が断線する房室ブロックがあります。徐脈が生じるとふらつきや目の前が真っ暗になる感じ、ひどい場合は意識を失うといった症状が見られます。

ペースメーカーについて

世界初の植込み型心臓ペースメーカーは1960年代に米国のメドトロニック社より発売されました。その後、コンピュータや電池の高性能化、小型化に伴いペースメーカーも非常に小さくなり、特殊なペースメーカーを除き、500円玉より少し大きいくらいになっています。

ペースメーカーの仕組み

ペースメーカーは本体とリード(導線)からなり、手術により完全に体内に植込まれ、術後はMRIが撮影できない等の制限がありますが、日常生活は、ほぼ健常の方と同様に送ることができます。最近では、MRI撮影も可能なペースメーカーが登場しており、さらに今後はリードの無いペースメーカーも発売されるようです。手術は局所麻酔で血管の走行や心臓の大きさにもよりますが、約30分~1時間で終了し、術後はリードや本体の位置ずれが無い事、傷の治り、ペースメーカーの正常な動作を確認し約1週間で退院となります。

ペースメーカーに関して詳しいお話をご希望の方、また先述のような症状がある方はいつでも循環器内科を受診してください。外来患者さんが多いので、かなりお待たせしてしまうと思いますが…、詳しく説明致します。