麻酔科研修を終えて

1年次研修医 B

麻酔科と聞いて皆さんはどのような印象を抱かれるでしょうか?

私はというと、手術室でよく分からない薬をいろんな所から入れて患者さんの状態を安定させている手術室の魔術師といった印象がありました。
よく分からない薬とは眠くなるお薬や痛みを取るお薬なのだろうなぁとは思うのですが、麻酔の勉強をほとんどしていない私には何のこっちゃ?です。
国家試験の勉強をしている医学生はご存知かもしれませんが、国家試験で言うと麻酔科の内容は500問中わずか1問程度しか出ないのです。
それを聞いた私はアレコレやるより自分の勘を信じた方がと考えたため、麻酔科の勉強はサラっとしかしませんでした。
サラっとは勉強しましたよ一応。
しかし、そんな調子で麻酔科に突入したわけですから、最初は緊張と失敗の連続でした。

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それでも麻酔科の先生は私に嫌な顔をしつつ?色々と教えてくれました。
麻酔の基本は、眠らせて(鎮静)、筋肉をグニャっとさせて(筋弛緩)、痛みをとってあげる(鎮痛)ことなので、それをどんな方法でも良いからすれば良いんだよーと。
ふむふむ。
なるほど。
このヨーグルトみたいな薬(プロポフォール)を入れて眠らせて、マッスルがリラックスするっぽい薬(マスキュラックス=ベクロニウム)を入れて筋肉をぐにゃっとさせて、千葉県にあるの?(アルチバ=レミフェンタニル)を入れて痛みを取って上げれば良いのか。
そして麻酔の維持として吸入麻酔薬(当院ではセボフルレン)を流してあげれば良いわけ。
あとは薬の濃度や体重に合わせて投与量を変えたり、場合によっては薬の種類を変えたりすれば良いわけで、基本は変わらないとのことでした。
麻酔中はその他、患者さんの状態に合わせて降圧薬や昇圧薬などを適宜使用していきます。
患者さんの状態が悪くなってからではなく、悪くなる前に第一手、第二手と動き出し、何事もなかったかのように振舞います。
上手な麻酔ほど患者さんの状態は変化しないので誰にもその麻酔の難しさは評価されません。しかし、誰かからの評価を期待しているようではいかん!とのことでした。

井上先生カッコ良いです!! 

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当院の麻酔科は、圧倒的存在感でナイスガイの井上先生、教え上手でざっくばらんな下野先生、何を聞いても嫌な顔せず教えてくれる江口先生と非常にバラエティ豊かでとても楽しんで研修することが出来ました。
麻酔科の手技としては挿管、ライン取り(V line, A line, CV line)、脊椎麻酔、硬膜外麻酔などがあり、全てが十分に出来るようになるには時間が短すぎましたが、麻酔科の楽しさと難しさを垣間見ることができ本当に良かったです。
 麻酔を通じて、循環生理や呼吸生理をもっと学ばなければならないなと痛感させられました。
また、モニターに頼らず患者をみよ!という井上先生の金言が胸に響きました。
SpO2が急に80台になって大慌てしている私に「バカヤロウ!患者の唇見てみろ。これが低酸素のわけないだろ!」と。
ただ単純にモニターが外れただけでした。

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SpO2が85%なら患者がどういう状況になっているか想像できるか?
血圧が90以下なら患者の身体がどういう状態なのか分かるか?
何か変だな?と思ったら必ず患者さんに触れ。
脈がきちんと触れるか、体表は温かいかなど自分の手から分かることがたくさんある!機械がどんな良いものが出来ても自分の感覚を研ぎ澄ますことを忘れるな!俺は機械よりも自分の感覚の方が自信があるぞ!とのこと。
 便利な世の中に慣れている私は、救急でも当直でもSpO2の低下や血圧の低下にすぐ大慌てしてしまいますが、患者さんを診よう!と医師になった4月に誓ったことを思い出させて頂きました。
麻酔はもちろん、医師としての生き様を学ぶことが出来ました。

1ヶ月と短い間でしたが、ありがとうございました。