Pay forward

2010年3月12日
Pay forward
救急部長 木村圭一

寺沢先生の講演の中で後輩への指導の話がありました。有留先生早く感想書いてね。

ある病院へ留学した先生が、指導医にお礼を言ったら、俺に言う必要はない、君の未来の部下に教えてやってくれればそれで良いと言われたそうです。外人様ですから、Pay forwardと言われたそうです。そういう映画もありましたね。

色々話を聞くと、病院や大学によってはローテーション研修の先生たちに一生懸命教えないそうです。教えても彼らはすぐ別のところへ行ってしまい、自分たちに何のメリットもない。また、ローテーションしてくる研修医も自分は眼科になるから、、、(眼科はあくまで例ですので悪気はありません)と外科や内科の研修を一生懸命しない。そして、すぐまた別の新人が来る、、、、たまったもんじゃないと。

しかし、研修の目的が理解されていないんですよね。

自分が楽になるためのローテーションではなく、国民のためのものです。

そもそも、我々が医師になれたのは、国の税金をたくさん使ってもらったからです。医師一人を育てるには約9000万円かかるとされています(文献1)。私の時には入学金が確か18万で授業料が年間252000円でした。8800万円以上税金から出してもらっています。

よって、我々医師は国民のために働かないといけないのです。医師法にも定められています。研修医の先生が自分の部下にならなくても、将来患者さんのためにその知識やスキルが役立ってくれれば、それこそ国民の健康のためになります。

また自分の所へローテーションに来てくれた研修医に、ほら救急ってこんなにやりがいがある仕事なんだよ?って伝えられれば、最初は眼科に行こうと思っていた先生だって、自分の部下になってくれるかも知れないのです(救命病棟24時では眼科と耳鼻科から研修医の先生が来ていましたよね)。

もし、自分のやっている科の事を、研修医に熱く語れないのであれば、自分の中の何かを変えなければならないでしょうね(文献2)。

しかし、熱く語りすぎても嫌われますので、注意が必要です。

文献1 寺澤秀一、宮城征四郎:対談「病院再生の鍵はゼネラリスト、大学はクリニッシャン・エデュケータ(前編)」. ER Magazine 2009; Vol.6, No.3, 412-419

文献2 スティーブ・ジョブズ P.118 林信行著 ASCII出版
「今日が人生最後の日だとして、今日これからやる事は本当にやりたいことか?もし、何日もの間「NO」と言う答えが続いたときは、何かを変えなければならない」