嘘をつく方法も覚えましょう

2009年12月24日
嘘をつく方法も覚えましょう
救急部長 木村圭一

悪い本も読まないと良い本かどうか判断できないと言う意見があります。

同じように嘘をつく方法を知らないと、正しい事は言えないとも言えます。かなり強引ですかね(^_^)。

今回は嘘をつく方法を少し勉強しましょう。と言っても、本の宣伝です。かなり古い本ですが「統計でウソをつく方法」(ブルーバックス)と言う本です。是非読んでみて下さい。女性にウソをつく方法については、人生経験豊富な院長に習って頂ければ幸いです。

ちなみに、世の中にはウソが3つあるそうです。
・政治家の公約
・医者の大丈夫ですよ!
・統計

それからもう一つありました。院長の絶対大丈夫!!でした(^.^)。

統計でウソをつく方法はいくつかあるのですが、一例を挙げます。本の引用です。

「米西戦争の間、米軍の死亡率は1000人につき9人であった。一方、同期間のニューヨーク市における死亡率は、1000人につき16人であった。さて、米海軍の徴募官たちは、最近、この数字を使って、海軍に入隊した方が安全だと宣伝していた。」

これは二つの意味でウソがあります。

1000人中9人と16人は0.9%と1.6%です。型のごとくNNTにしてみると、死亡率が0.7%下がったと言う事で、1÷0.7×100=142.86です。約143人の人が米軍に入るとそのうち一人が死亡せずに済むと言う訳です。残り142人はほとんど死にませんし、死んだとしても運命だと言う事です。この数字が統計学的に意味があるかどうか、、、、

それから比較するデータの背景が異なります。軍隊に入るような人は若い男性でしょう。ニューヨークには女性もお年寄りも、病気の人も多いでしょう。単純に比較してはいけません。

が、こう言った事を知っていれば、逆にだます事は簡単です。

また検査でだまされる事もあります。だまされないためには検査でだます方法を知っていなければなりません。

例えば、血糖が100と言う結果が来たとします。血糖は1日何回も測りますので、6時間後は110だったとします。血糖が上がってきているので、注意!!と考えるべきでしょうか?

これは精度管理と言う事から分かります。正確に糖が100と言う液体を作り、それを例えば100回測ると、全て100と出る訳ではなく、時には90となったり、110となったりします。誤差の範囲ですね。これが±1ぐらいであり、例のように血糖が100から110になったとすればかなり高くなったと考えても良いですが、±10ぐらいであれば、最初の100は90から110の間の可能性が有り、次の110は100から120の可能性があると言うことです。よってあまり変わっていないと考えるのがベターでしょう。
以下によれば、血糖は±6mg/dlあるいは10%とあります。
http://www.sysmex-tmc.co.jp/cd/rinsyou/demo/I/HTML/001.htm

以上のようなことを使って、同じ現象でも使い分けることが可能です。
血糖が前回150だった患者さんが、今回160だったとします。

真面目な患者さんには、これは誤差の範囲であり、前回と変りないですよ〜、よく頑張っていますね!このまま頑張りましょう!と言います。

不まじめな患者さんには、最近はたまたまこの値だったと思われ、血糖が10も上がっています!もう少し頑張りましょう!!と言います。

先日クレアチニンの値が0.5ぐらい高く出てしまったようで、確かに受け持ち患者さんのクレアチニンが高かったです。クレアチニンは0.3mg/dlぐらい誤差があるようですが、、、、検査データに騙されて、精査をしようと試みてしまいました。