おかしいなと思う感覚は重要です

2009年12月16日
おかしいなと思う感覚は重要です
救急部長 木村圭一

おかしいなと思ったらすぐに対処すると言うのは非常に重要です。適切な例を思い出しませんので、古い話です。

今映画になっているJAL(日本航空:Japan Air Line)123便墜落事故ですが、事故の前から飛行中にトイレのドアが開かなくなるとか言う噂があったらしいです。事故の原因と関係があるかどうか分かりませんが、この点をきちんと追求していれば事故は防げたかも知れません。

医療の現場でも、おかしいなと思う感覚は重要です。臨床研修はこれを身に付けるために行うのだと言っても過言ではありません。実例を3つ紹介しましょう。

(1)LDHサブタイプ欠損症
私が学生時代に講義で習ったお話です。乳酸脱水素酵素(Lactate Dehydrogenase:以下LDH)のHサブユニット欠損症と言う病気があります。私の母校の先生達が世界で初めて報告されたらしいです。
難しい事は忘れましたが、私の記憶が確かなら(確かである確率は、、、、ゼロです!)LDHという酵素はM(骨格筋由来)とH(心筋由来)と言う部分があり、この組み合わせによって5つの種類があります。LDH1と言うのはHが4つで出来ていて、LDH2はH3つMが1つ、LDH5はMが4つだそうです(うちの院長はLDH1ですかね。マラソン好きなO先生はLDH5でしょうか)。
http://www.ops.dti.ne.jp/~noah/ketueki/LDHisoenzyme.html
見つかった経緯は次の通りです。ある時私の母校に心筋梗塞の患者さんが来られました。当時は多分トロポニンとかなかった(私が大学に入ったのは1986年。岡田由希子さんが亡くなった年です)でしょうから、白血球とかCRP、LDH等が重要でした(覚えさせられましたから、、、注)。しかし、その患者さんは、他の検査が上昇しているのにLDHだけ正常だったそうです。担当した内科(腎臓が専門だったそうです)の先生は、LDHも上がるはずなのに、、、、これはおかしいんじゃないか?と検査部に調べて欲しいと言って来たそうです。そして、この患者さんはLDHのHサブタイプ欠損症であると言うことが分かったそうです。すごいな〜と思った記憶があります。

(2)整形外科医が見つけた肺がん
整形外科に通院中の患者さんのコンサルトがありました。これは肺がんじゃないでしょうか?と言うのです。確かに指摘された肺のレントゲン写真を見ると腫瘍があります。検査をして手術をした所肺がんでした。単純レントゲンは見逃してもおかしくないぐらい小さく淡い陰影です。私が最初に見ていたら見逃していたかも知れません。
その整形外科の先生に、「先生すごいですね!!」と言ったら、「僕は整形外科医ですよ。分かる訳ないじゃないですか〜レントゲンを見た瞬間に何かおかしいと感じたんです。それで絶対何かあると思って見つけたので先生に紹介しただけ。それだけです。」と言われました。謙遜だとは思いますが、そういうセンスは重要ですね。

(3)子供の外傷
8歳の男の子が中央分離帯の近くで倒れていたと言う事で救急搬入されました。現場では意識がはっきりしなかったようですが、来院時は問題ありませんでした。大きな損傷はなさそうでした。冬だったので低体温もあったのかなと思い帰宅させようとしましたが、担当した研修医は、車にひかれたなら損傷があるでしょうし、そうでなかったら子供が中央分離帯の近くで倒れている(当時は大都会?で研修していましたので、鹿屋にはバイパスにしかない中央分離帯が多かったです)なんておかしいと思い、意識障害→中央分離帯の方へ自分で歩いて行ってそこで倒れたと考え、小児科の先生に相談しました。
精査の結果動静脈奇形があったようです。外科医になっても、内科的な知識も必要なんだよ〜とその先生はこの話を若い先生や学生さんにし続けているそうです。

あれ??と思った時には、きちんと調べるようにしましょう。

そして指導医はそう言ったおかしいんじゃないか??と言う感覚を持っていますので、指導医の言うことはちゃんと聞きましょう!

注 心筋梗塞の時の血液検査の上昇する順番と言うのが私の国家試験時代には重要でした。白血球、CK、GOT、LDH、と続いて、血沈が最後です。これを、、、、

最初白かった(白血球)シーツが、ABCの順に進んで、、、最後は赤くなる

と覚えました。どういう意味かは考えて下さい。もちろん皆さんが思ったことそのものです!私が考えたのではなく、本に書いてあったのです。今はこんなの試験に出ないんでしょうか?最初はトロポニンかラピチェックですかね〜。