弾性ストッキングと忘年会

2009年12月1日

弾性ストッキングと忘年会

救急部長 木村圭一

 

前回の記事の続きです。

おまちかね?の「申し送りゲーム」です。看護師さんがいつも仕事でやっているオペ出しをするゲームです。もしかしたら「オペ出しゲーム」だったかも知れません。患者さん役はもちろん我々医師です。

患者さんに病衣を着せ、キャップをかぶらせ,眼鏡を外します。偽の点滴をし、弾性ストッキングをはかせ、幹事さんの所へ連れて行くと言うものです。幹事さんは、怖いオペ室の看護師さんよろしく、「それで〜?この人は血圧のコントロールは問題ないんですか?分からないじゃ困るじゃないですか!」などと冷たい質問を投げかけます(ちなみに、当院のオペ室の看護師さんはとても優しいです)。

手術をする患者さんは、肺塞栓の予防のために弾性ストッキングを履きます。これは非常に強い材料でできており、足を締め付けるものです。よって、非常に履きにくいものです。もちろん、履かせるのはもっと難しいです。よって結局これをいかに早く履かせるか、、、を競うゲームができるという訳です。

弾性ストッキングを女性がはいていいんですか?と聞かれる事がありますが、男性用ストッキング(http://ok-lab.net/penistocking.php?ad=23#pocket)ではありません。

まじめな話をします。深部静脈血栓症の高リスクでない手術においては、弾性ストッキングを着用していると、オッズ比が0.28で相対リスクが68%だったとあります(Wellsら、PMID: 8267491)。コントロールが何%なのか要約に書かれていないのですが、20%程度だったとするとNNT=15.62でかなり有用です。コントロールが2%程度だとNNTが156.3とあまり意味なさそうですが、大きな合併症もないでしょうから使いましょうと言う事だと思います。

ちなみに、弾性ストッキングはしわの無いように履かせないといけません。しわがあるとその部分がターニケットの作用をし、血流障害を起こすからです。この申し送りゲームでも、その点が評価され、早く申し送りができても、しわがあると減点になっていました。宴会幹事の看護婦さん二人は元気なだけでなく勉強家でもあったのです(^.^)。

他にわざわざキャップや病衣を宴会場に持って来ていて、すごい準備が良いなあと思いました。今年の3階東病棟の忘年会で、是非やってみませんか?

参考文献 整形外科術後肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症マニュアル ガイドラインに基づく予防・診断・治療の実際 富士武史編集、南光堂

略語はできるだけ使わないようにと言うのがポリシーなのですが、NNTとPMIDと言うのを使ってしまいました。これらについてはまた別記事を、、、、