研修説明会 in 宮崎

2008年5月19日

研修説明会 in  宮崎

内科 有馬 喬

とある土曜日、徳洲会病院の研修説明会があった。

全国から研修病院の先生方が宮崎へ集結した。

当院からは木村先生、有留先生、有馬が参加した。

時流(とき)の流れと共に、時代の主役は変わっていく。

そんな事を思わせる説明会であった。

今回は分かり易くするため、時代劇風に話を進めてみる。

注意:以下の話はフィクションであり、実際の人物、団体等には一切関係は無い。

<キャスティングの概要>

①木村利休…小隅鹿屋病院ERを総括する救急部長。自らを「鬼軍曹」と名乗るだけ

あり、その姿はまさに白衣を着た鬼。長身の彼が奏でる重低音の声には密かにファ

ンが存在しているとの話である。「木村先生もねえ、今はあんなだけど、俺の下に

ついてた頃は可愛かったんだよ。」とかつての指導医利光副院長は言う。

②有馬信長…数年後に「小隅鹿屋病院のカリスマ」と言われることとなる内科医。

かねては心臓外科医に強い憧れを抱いていたが、どういう訳か内科医を志す。そし

て、さらにどういう訳か現在、整形外科へ逃亡中。近況としては、6月から内科に帰

ろうとしていたら、彼が師と仰ぐ「カラオケで飛跳ねる内科部長(残念ながら今回の

話では出番は無い)」に循環器を勉強して来るよう指示され、近々4階東病棟にトラ

ンス、チーム古賀に配属予定である。有留光秀の高校、大学の先輩でもある。

③有留光秀…小隅鹿屋病院内科研修医。高校、大学の先輩である有馬信長に憧れ、

この春、宮崎より当院にやって来た。「信長を師と仰いでいる。」と彼は公言して

いるものの、その言葉の裏には常に、「信長の首」を狙おうとする思惑が見え隠れ

している。

では、本編へ。

宮崎の乱 ~大淀川を望む~

研修説明会は順調に進んでいた。

木村利休は言った。

「小隅鹿屋病院、お願いします。」

壇上に上がる、有馬信長と有留光秀。

壇上にはマイクが用意されている。

光秀は言った。

「小隅鹿屋病院の有留です。今日は4月からの1ヵ月半僕がどういった研修をやって

きたかを動画でご覧頂きます。では動画お願いします。」

信長は思った。

「…ん?ちょっと待て。俺が何もしゃべって無いぞ。ひょっとして俺に何もしゃべ

らせないつもりか?」

「いや、さすがにそれは無いだろう。きっと最後のキメ台詞を師と仰ぐこの俺にお

願いするつもりだな。なかなか愛い奴じゃないか。」

2分ほど経った頃であろうか。

光秀は言った。

「え~、という訳でですね、うちの病院に是非実習にいらしてください。待ってま

す。」

利休は言った。

「ありがとうございました。では最後に○○病院さん、お願いします。」

「おのれ、光秀め、どういう訳じゃ。利休も利休じゃ、有馬先生も一言お願いしま

す。となぜ言わぬ?」

信長にはマイクを持つ機械すら与えられなかった、愛弟子光秀の思惑で。

会が終わり、当院に興味を持ってくれた学生さんと二次会に行った。

参加したのは約10名の学生。

実は信長はこの二次会に、彼が学生の頃可愛がっていた柔道部の後輩を一人、刺客

として呼んでいた。

しかし、残りの9人の学生が全て光秀の息のかかった刺客であることに信長は気付い

ていなかった。

光秀が口を開いた。

「有馬さんが連れてきた学生さんは一人だけど、僕は7人連れてきましたからね。5

月にして既に僕の時代ですかね~?」

…。

さらに光秀は続ける。

「木村先生、月曜日の医局会で、有馬さんが連れてきたのはたった一人だったけど

、残り7人は全部僕が連れてきたって発表してくださいよ。」

利休は言った。

「分かりました。有馬君じゃなくて、有留君が成果を上げたと報告しましょう。」

「おのれ、茶の道(救急の道)の師と仰いだ利休までもがこの俺を陥れようというの

か。」

「光秀、貴様にはもう何も教えてやらん。」

「いや、有馬君、それはダメでしょう。自分の弟子に嫉妬するなんて大人気ない

よ。」

「おのれ利休め。…しかし、奴に逆らうと、ERでの我が立場も危うくなる故、気を

つけねばならん。」

病院は医師だけでは全く機能しないことを信長はよく知っていた。

光秀は最後に言った。

「そんなに俺が怖いんですか?有馬さん。」

…。

2008年5月17日。

有留光秀、有馬信長の戦いが今まさに始まろうとしていた。

おしまい。笑