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トップページ > 患者様向け情報 > ヘルスインフォメーション > 知っておきたい病気の話 > vol.30 歯周病と全身疾患には関わりがあります/【歯科口腔外科】中村和弘

Oosumi Kanoya Hospital

知っておきたい病気の話

vol.30 歯周病と全身疾患には関わりがあります/【歯科口腔外科】中村和弘

思い当たる症状はありませんか?

□ 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
□ ブラッシング(歯磨き)時に出血する。
□ 口臭が気になる。
□ 歯肉(歯茎)がむずがゆい、痛い。
□ 歯肉が赤くはれている。
□ かたい物が噛みにくい。
□ 歯が長くなったような気がする。
□ 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間 に隙間がでてきた。食物が挟まる。

これらの症状は歯周病でみられるものです。右記の項目3つがあてはまれば歯周病の可能性があります。6つあてはま れば歯周病が進行している可能性があり、すべてあてはまる場合にはかなり進行した歯周病といえます。

歯周病(歯槽膿漏)とは、細菌感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないことで、歯垢が蓄積し歯肉の発赤、腫脹 がみられます。進行すると、歯と歯肉の境 目(歯周ポケット)が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨と呼ばれる歯を支えている骨)が溶けて歯がグラグラ動くようになり、 最終的には抜歯という結末を迎えてしまい ます。「国民の8割が歯周病」(大げさな捉 え方ではありますが)という謳うたい文句があるほど、今や国民病というべき歯周病ですが、全身疾患との関連についても様々な報告がなされています。

① 狭心症・心筋梗塞
動脈硬化により心筋に血液を送る血管 が狭くなったり、塞がったりすることで心筋に血液供給がなくなり生じる病気です。動脈硬化は不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病 原因菌などの細菌感染がクローズアップ されてきました。歯周病菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が産生され血管内にプラーク(粥じゅくじょう状の脂肪性沈着物)を形成することで、血液の通り道が細くなります。プラークが剥がれて血の塊かたまりができると、血管を詰まらせてしまいます。

②脳梗塞
脳の血管のプラークが詰まったり、頚動脈や心臓からの血栓(血の塊)、プラークが飛んできて脳血管が詰まる病気です。 歯周病に罹患している人は、そうでない人 の2・8倍脳梗塞になり易いと言われてい ます。

③糖尿病
歯周病は以前より糖尿病の合併症の1つと言われてきました。さらに最近では、 歯周病になると糖尿病の症状が悪化するという逆の関係性も明らかになってきました。つまり、歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼし合っていることになります。最近の報告では歯周病治療で糖尿病も改善することも分かってきています。 糖尿病の指標の1つにHbA1cがありま すが、歯周病の治療でこの数値が改善するという結果も得られています。

④低体重児早産
妊娠中の女性が歯周病に罹患している 場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。これは歯周病菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかと考えら れています。その危険率は7倍にのぼると言われており、タバコやアルコール、高齢 出産などよりも高い数字となっています。

⑤誤嚥性肺炎
誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物が誤って気管や肺に入る(誤嚥)ことで起こる肺炎です。健常な人は誤嚥が起こると咳 反射により入らないよう守ろうとします。 ところが高齢者では咳反射の機能が衰えるため、誤嚥を起こし易くなります。結果、食べ物などと一緒に口の中の細菌も気管から肺の中へ入ることで誤嚥性肺炎を発症してしまいます。

⑥骨粗鬆症
骨粗鬆症は全身の骨密度が低下し脆もろくなる病気です。その中でも閉経後骨粗鬆症 は骨代謝に関わるホルモンであるエストロゲンの低下により発症します。閉経後骨粗鬆症で歯周病が進行し易い原因として、エ ストロゲンの欠乏が重要と考えられていま す。エストロゲンの分泌が減少すると、全身の骨だけでなく歯を支える歯槽骨も脆くなります。また、歯周ポケット内では炎 症を惹じゃっき起する物質が産生され歯周炎の進行が加速すると考えられています。

⑦メタボリックシンドローム
詳しいメカニズムは解明されていませんが、歯周病の病巣から放出されるLPS と呼ばれる内毒素やTNFαというサイ トカインが脂肪組織や肝臓のインスリン 抵抗性を増加させ、血糖値を上昇させま す。

このように歯周病は多彩な全身疾患と の関連性が報告されています。正しいブ ラッシングの方法を身に付け、定期的に 専門的なクリーニングを行いメインテナンスを受けることが重要です。歯周病の恐ろしい点は、初期・中期には自覚症状が乏しく進行してはじめて症状を認めるところです。今回の内容が皆様の健康の一助になれば幸いです。

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