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Oosumi Kanoya Hospital

知っておきたい病気の話

vol.3 安静神話の崩壊/【整形外科】前田和彦

常識とは「経済」である。考える手間は省けるが、常識は未来永劫不変の真実ではないゆ
え、時代と共にアッサリ捨て去られる。そんなとき、旧時代の常識を否定されて不安に駆られたり常識を楯に目前の現実を見ようとしないことも屡々。

朝青龍が怪我療養中にモンゴルでサッカーをしたことが問題になった。自宅と病院以外
の外出を認めないとの裁可が下った。使わない筋肉は細くなり力も落ちていくので、プロ
としての激しい運動に復帰する前にお遊び程度の軽いスポーツをするのは合理的なリハビ
リテーションになるというのに。安静神話時代の怪物がまだ猛威を振るっているようだ。

スポーツ医療の視点から安静の弊害を論じた本に島田永和氏の「痛い腰・ヒザ・肩は動いて治せ」(朝日新書)がある。運動選手でなくても長期安静により活動能力は極端に落ちる。いためた部位ごとにどんな困ったことが起きるのか具体例を挙げよう。

指は動かさないと3週間で固まる

「ギャーッ!」白昼に響きわたる悲鳴。手首の骨折のためにギブスを巻かれているものの
指は動かせるようにしてあったが、怖いので1ヶ月大事にして動かさず、とうとう痛くて
曲がらなくなってしまった指。今、地獄の特訓が始まる。教訓:指のリハビリは早めに!

肩も固まる

「五十肩」(肩関節周囲炎)になり、「痛いから動かしちゃならんのだろう」と肩を動かさないようにしていた。数ヶ月してやっと肩の痛みがなくなった。でも、腕が上がらず、顔も洗えなくなっていた。立派な「凍結肩」。肩が痛くなって1.2週間のうちに「振り子運動」をしておけばよかった。腕を下に垂らしたままブラブラするだけ。更に、机に手をついて前かがみになり反対側の腕をブラブラ動かせば体に対して腕が上がった状態で練習できる。

入院してひどくなる頚椎捻挫

追突事故で首が痛い、知人から「ムチウチは後で後遺症が出るから入院して安静にしろ」と脅され、ひたすら首を動かさなかった。入院生活は万年床。寝て、天井を眺めて考えるのは嫌な事故の光景と誠意のなさそうな「加害者」の憎たらしい顔。1ヶ月もすると、本当に首が動かなくなっていた。「そろそろ退院を」という病院にも腹が立つ。「痛いから退院できない」と啖呵をきったが、入院していても痛みが軽くなる気配はない。同乗していた友人は入院せずに、もう仕事も始めたというのに。

最近は診断書に「ムチウチ」と書くのは流行らない。「数十年してから後遺症が出る」というデマが流布していて、自信をなくして余計に症状が重くなることがよくある。そもそも「後遺症」とは後に遺った症状のことで、数ヶ月の経過で出ていない症状は該当しない。痛みに意識を集中するほど痛みから逃れられなくなるので、気分転換も重要。事故の「第一当事者」や保険会社の対応に不満があると悪化する傾向があり、知人の精神的な支えも必要。首を動かす練習は少しずつでも早目に始めたほうが治りやすい。骨折があれば話は別となっているが、本当にそうだと断定する自信はない。

愛は腰椎圧迫骨折より強し

A氏は交通事故で腰の骨を折った。幸い「安定型」の骨折ではあった。妻子が路頭に迷うかと心配で一日も早く退院したかった。支柱入りのコルセットができるや2週間足らずで退院した。無茶といわれてもガムシャラに働いて数ヶ月後、腰の痛みは消えていた。半年後に撮ったレントゲンでは腰椎の前半分が2割ほど潰れてはいたが不自由はない。同じ骨折で入院していたB氏は「まだ痛いから」と3ヶ月以上入院した。レントゲンはA氏と大差なかったが、1年を過ぎても腰が痛かった。長期入院で筋力が落ちていた。
注意:「無茶」は「自己責任」。2.3ヶ月は荷物を持ったり前かがみで作業するのはやめておくのが無難。

病院では這って動けない

C氏は長年の腰痛で這って移動していた。「もう入院させてしまおう」と家族が病院に連
れてきた。「いろいろな人が出入りする病院の床は清潔でないので這えない」と言われたが、そのまま入院させた。C氏にはつらいリハビリを受ける気はない。上半身を起こすと怒って叫ぶ。C氏は寝たきりとなり、肺炎を繰り返した。

入院して痛みを止める特別な手立てはない。環境が変わって「認知症」が進む高齢者も多い。院内転倒による骨折も意外に多い。(「あってはならぬこと」と怒っても、現実に頻発している。起こりうることを前提に対策を考えていくのが合理的。)そんな危険を冒してまで入院する意義は、つらいリハビリを頑張って生活能力を取り戻すことと信じ、「安静目的入院」とは決して言わないようにしている。

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